2004年02月12日

村上龍・殺しのライセンス

佐世保から出てきたその若い物書きは、大麻で捕まり、やがて更生を誓うと、殺しのライセンスを授かった。

いまやその若者は日本経済やサッカーについて語るエスタブリッシュメントとなったが、ライセンスの更新期限が切れてしまったことに気付いているとは言いがたい。

70年代から80年代にかけ、駄作映画を何本撮ろうが揺るがなかったその地位もそろそろ原資を食いつぶしてはいまいか。用心したまえ。

昔は中央線、いまは新玉川線沿線の新興成り金にまで成り上がった不世出の芥川賞受賞者は彼だけなのだ。出世の法則〜中央線から反時計回りで45度内〜を見事に体現したが、彼に続いたのは小物ばかりだった。

売文で名声を博したら、女とカネとスポーツ、そしてグルメ。クールだ。しかし、欠けているのは完璧なスキャンダルと晩年の大傑作である。

バブルを謳歌したにもかかわらず、21世紀には深刻な顔をして世相を憂う彼はクールなロクデナシだ。あのトヨタのCM料で買ったフェラーリでなにが買えたのか。出版社に回したセンチュリーハイアットの宿代でなにが買えたのか。13歳中産階級のボンクラどものハローワークで俺だけウハウハだが、何か。

写真は『ジャズと爆弾』(角川)より。新進気鋭の作家、村上龍が、当時ベテランの域に差し掛かりつつある中上健次と対談した熱い本。中身は「プリンの作り方」とかどうでもいいことばかりベラベラ喋っているが、それで本が成立するほど当時の2人は神々しい。それは、2人が殺しのライセンスを授かっていたからだ。

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彼の登場は、ナカケンの熊野回帰を一層加速させたのではないか。その人間の性分には、それが値するテリトリーがある。非凡な才能はそれが属するテリトリーの棲み分けを自然に行う。しかし、凡人は同じ狭い領地をめぐって奪取しあい、罵りあうもの。ナカケンは偉かった。そして、その後は御存じのようにさらなる凄い作品を生み出した。しかし、カネは無かったようだ。

カネはありそうだという意味では彼は偉い。いや、世辞でも皮肉でもなく、世の中には口だけ番長が多いので、実践するは易きに非ず。ホント立派だ。勤勉ですらある。しかし、本当のことを言おう。開高健のように遊んで暮らしてもいい、という許可はまだ下りてはいないのだ。

開高には『輝ける闇』があるが、彼には全部合わせても、まだまだ不足分がある。ホントはイラクに行くべきだった。そこで、人を殺す間近で覚醒したり、女とヤッた話を書きながら、壮大なペテンについて言及すべきだった。ノーマン・メイラーを見習いたまえ。奴は殺しのライセンスが欲しくてほしくて、かくも半世紀以上、超人並の努力をしている。もはやライセンスをもつ以上に凄い男になってしまった。

ああ、やはりライセンスは自力で獲得しなければ、その価値がわからないものなのだろうか。神様、彼にもう一度殺しのライセンスを授けてやるチャンスがあれば、どうかその際に言ってやってください。
彼は彼だけのために生きているのではないのだ、と。

今さらチャーリー・パーカーをコピーしてもしょうがない。セシル・テイラーの子守唄も要らない。手首を切ったり坊主頭で人を切り刻む人達は射殺されればそれでいい。こんな巨大な茶番劇の中でさらに演劇をやるのはバカだ。終末じゃない。そんなことじゃない。もっと単純できっともっと恐ろしい。あなたはあたしがパパと寝ているんだろうって言ったけど、そんなおしゃべりには何の意味もない。あなたは何も創り出す必要はない。学ぶこともない。研究することもない。もうすぐちゃんと終わりが来る。優しい優しい終わりが来る。《『スザンヌ』村上龍 より》

Posted by koba at 2004年02月12日 12:43 | トラックバック
コメント

殺しのライセンスは彼だけじゃなく、僕らみんなが真剣に取り組まなくちゃいけないことだと思う。
僕らは何かを証明しなくっちゃいけないと思う。
実際はボンクラなんだけどさ。コロ助なんだけどさ。
背伸びし続けなくっちゃいけないと思うんだよ。

Posted by: のまd at 2004年02月12日 22:17

のまd、たまにはいいこと言うじゃないか。俺のほうが照れてしまうよ。

Posted by: koba at 2004年02月12日 22:31

すいません。「コロ助のくせに生意気だぞ」って言われてるんじゃないかと心配になって戻ってきました。ちょっとカッコつけすぎました。

Posted by: nomad at 2004年02月12日 23:35

あ、いや、別にチャチャを入れたつもりじゃないんだ。失敬、失敬。

ところで、茶々って書くのかな? 思い出せなかったんでチャチャにしたら、なんか愉快なリズムが聞こえてきたよ。

Posted by: koba at 2004年02月13日 02:02

この前Trackbackしてもらったkazumaです。
龍の作品で最近面白いのがないですねぇ…
『69』とか結構すきなんですけど…
また遊びに来ま〜〜す♪

Posted by: kazuma at 2004年02月13日 12:34

芥川賞選評の構造的出版不況うんぬんを「あんたが言うなよ」とは思いましたが、昔むかし仲間内でハシだのアネモネだの呼び合ってた頃(^^;)はやっぱり自分たちにとって特別な作家だったのになあ…。

Posted by: sora at 2004年02月13日 18:21

カッコいいことを言っちゃうと何事か為したような気になっちゃうからね。
自分がコロ助だってよく覚えておかなくちゃ。

Posted by: nomad at 2004年02月13日 22:05

どうも、kazumaさん。「69」は私も好きです。最後がいいですよね。

soraさん、ハシとキク、そしてアネモネ。懐かしい。昔、ラジオで沢田研二が朗読していたっけ。う〜ん、「コインロッカーベイビーズ」よ、もう一度。

コロ助ってどういう意味? なんか可愛いんだけどさ。> nomad

Posted by: koba at 2004年02月13日 23:50

だんだんコメントが長くなってますが(笑)
僕のコトを「ジャイアンみたいだ」という人がいて、他の人が「いや、のび太だろ」という意見があり、僕自身が「コロ助です」ってわけ。
刀は持ってるが竹光。
能無しじゃないつもりだができることはお使い。
弱いけどサムライ。
好きな歌は「はじめてのチュウ」

Posted by: nomad at 2004年02月14日 00:06

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>絎潟潟
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I do not agree. Go to http://www.bluehotels.info/plein_Germany/coif_Nordrhein-Westfalen/chthonian_D%C3%BCsseldorf_1.html

Posted by: chthonian D%C3%BCsseldorf at 2006年11月17日 18:48

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Posted by: Tampa hotels at 2006年12月07日 00:51

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Posted by: Budapest hotels at 2007年01月13日 00:23
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