品行方正な会話を散々重ねた俺たちは、明日のレースの話しや、セッティングの話しをひとつもせずに眠った。鼾のうるさい奴は隅っこに、裸で眠りたがるビッグバードも隅っこだ。あるとき、明け方に、俺は恐怖のどん底に陥れられたことがある。妙な気配に目をあけると、ビッグバードが俺の枕元で裸で眠っていたのだ。
スヤスヤとだ。思わずフォールせず、サッカーボールキックで布団に押し戻したことは言うまでもない。奴は「ん?」とあどけない声を、一声あげただけだったが、顔はどう見ても、あどけなくない。
怖気をふりはらい、俺は布団に倒れ込むが、もう朝だ。最悪の気分なので、朝飯も食わずにサーキットへ向かう。一番乗りさ。トランスポーターを木陰に隠し、朝飯を食らう。こんな時間に起きてるなんて体に悪い。いつもならこれから寝る時間だ、早起きして三文得したことなんかねえ、と、頼まれもしない呪詛をたっぷりと並べるが、チーム員は黙々と飯食って、俺を黙殺だ。こいつら・・・
ゲートが開き、ピットの準備だ。俺は高飛車な指示を投げ付けた後、優雅なトイレタイムにフケこんだ。減量行為もドライバーぼ大切な行為だ。ふっ
ピットの設営が終わった頃を見計らって、すっきりした顔で出て行く。昨日のうちに仕込みは終わっているので、せわしない作業は今のところない。ミーティングが終わり、いよいよ走る時間が迫る。気圧は昨日より高くなっているが、それでもいつもよりは低めだ。公式練習前に、パタパタとメインジェットを取っ替え引っ替えしながら、エンジンの具合を見る。これでいいに違いない!というところで、ヘルメットをかぶり、走行準備。だが低回転域でモタつく。そこさえ越してしまえば問題はないんだが。練習を走り終えても悩み続けたが、肋骨が違うセットにして走行していたので、その状況を聴き、変更無しでいくことにする。クルマの動きは、まあ、悪くはない。フラフラと色んなピットを訪れ、フラフラと戻って来てタイムトライアルの準備に入る。グリッドに行くと、エジプトで会った、少年がいたので横につける。こいつは世界大会で、他国のドライバーがインチョロして邪魔だったからと、弾き飛ばして一躍要注意ドライバーになった奴だ。インチョロってのは、イン側をちょろまかしてカットしたのか、イン側をチョロチョロブロックすることなのか何なんだと問うと、イン側でチョロチョロと邪魔くさい奴のことだと言ったとか言わないとか、んん、記憶がさだかじゃないが、俺のお気に入りの台詞だ。
インチョロして様子を見ようかとも思ったが、後ろから見ることにする。とっとと走ってとっとと戻るつもりが、ずっと後ろについて走っていたら9周もしてしまった。ハッと我に帰りピットイン。結果は、少年トップタイム。後ろについてた俺は8番手。アラ・・・
まあ、気を取り直して予選ヒートにいってみよう。クルマの動きにも不満はないので、ほとんどいじらずに、予選ヒートに向けてグリッドにクルマを並べる。目の前にはキングだ。まあ、気合いを入れていってみますか。
続く。そして茂原のレポートもあるので、手早く終わるであろう。
投稿者 morimori : 2004年06月02日 01:00 | トラックバック