HD DVD、3つの敗因とその反省を今に生かす
HD DVDとBlu-ray Discの次世代DVD戦争は、HD DVDを推進した東芝の撤退というかたちで幕を閉じた。その明暗を分けたのは一体どういった要素なのだろうか。麻倉氏が分析する。
なかなかおもしろい記事でした。3つの要因で分析する方法とかそれぞれの評価面に関しては他の製品や業界でも応用できるのはないでしょうか。
で、HD DVDがBlu-Rayに敗北した理由が3つ挙げられているのですが、その1つ目、それは「記録時間の短さ」です。
エアチェックメディアとして考えた際、HD DVDではBS-hiを1時間半録画できないのに対して、BDは2時間10分以上の録画が可能です。VHS/βの規格争いから得られた教訓でもありますが、エアチェックメディアは2時間録画できないと一般に受け入れられません。
確かに短いよりは長い方がいいと思うのですが、それが決定的要因になるのかな、と思いながら読み続けてみると、
ROMについては議論はありますが、私が2005年にワーナーへHD DVD採用の理由を尋ねたところ、彼らは「MPEG-4やVC-1といったコーデックも存在しており、30Gバイトあればほとんどの映画は入る」と返答していました。ですが、当時からディズニーは「クリエイターはあれもこれもと入れたくなるから、(BD2層の容量である)50Gバイトでも足りない」という意見でした。それを聞いて、ハイビジョン時代には容量はどれだけあってもよいものだと感じました。
ということでキャパシティ・マージンはあればあるほどよい、ってことですね。
で、第2点目ですが、これは会社的というか担当者の問題なわけですが、
ライバル技術に対する冷静なジャッジが行えず、技術革新を信用できず、既存技術の延長に自分たちの世界をつくってしまったことが第2の敗因でしょう。「BDはできっこない」を前提にすべてを考えてしまった過ちです。
それにより、それまで無理だと思われていたことが可能になる技術が出てきた時点でHD DVD側の技術的なメリットが訴求しずらくなるばかりでなく、自分達の可能性まで閉ざしてしまうことになるわけで、このあたりは技術者であればあるほど、難しい話ですね。
そして3点目がおもしろいです。「極端な低価格戦術」というやつです。
東芝は2007年秋、アメリカ市場でHD DVDプレーヤー「HD-A2」を99ドル(98.87ドル)という超低価格で販売しましたが、これが最終的な破たんを招きました。
安く売り出せば台数が出るのでシェアが拡大し、業界におけるポジションも強くなるのでは?と思うと思うのすが、現実はそうならないようです。
確かに99ドルプレーヤーは売れました。しかし、プレーヤーが売れても、2007年1月から12月までいつの時点でもBDとHD DVDのソフトの売れ行きは2:1の比率で変わることはありませんでした。ハードの低価格戦略がHD DVDソフトに貢献していなかったのです。購入者は高性能DVDプレーヤーとしてしか利用せず、99ドルでしかプレーヤーを買わないユーザーが1枚35ドルのHD DVDソフトなど買うはずもありません。
なるほど、「DVDプレーヤー」として購入されたのでHD DVDのシェア拡大に貢献できなかったんですね。しかも安い本体を買う層が高いソフトは買わない、と。で、それが結果として、
超低価格戦術は「ハードが売れても、HD DVDソフトは売れない」という状況をも作り出してしまいました。ワーナーはこの状況を見て、HD DVDからの離脱を決めました
という最悪な結果になってしまったわけです。
そういえば昔、無料ISPというのがあって、そこのビジネスモデルは無料でインターネット接続会員を集め、そこで物販などを行い収益を上げていく、というものだったんですけど、そこに集まる人はお金を使いたいないから無料サービスを利用するわけですが、そこでモノを買う、なんてことは全くないわけです。
今でも同じようなビジネスモデルを掲げてサービスインする新しいサービスがあるのがとても香しいわけですが。
ということで、終わってしまった後では理由はいくつでも挙げることはできると思うのですが、これを他山の石として今やっている/これからやるビジネスに生かしたいと思います。



