この記事、何気にいい記事ですね。
ソーシャルメディアを活用したマーケティング戦略の指南書「グランズウェル」の著者であるJosh Bernoff氏が、ad:tech tokyoで講演するために初めて来日した。
「グランズウェル」著者に聞くTwitterマーケティングのコツ
まず「グランズウェルってなあに?」ってことなんですが、
もともとは海の波のような"大きなうねり"を意味するのですが、私がグランズウェルという言葉を用いるときには、ちょうど先日、日本で選挙があって政権が変わったのと同じように、"大きな人々の動き"という意味合いが背後にあります。
まあ、ある種のパラダイムシフトを差す言葉なんでしょうね。まあ、それ自体はあまり気にしなくてもいいのかもしれません。
で、ソーシャルメディアを活用したマーケティングはどうすればいいの?という質問に対しては、
それは結局、自分がコミュニティをコントロールしようとしないことです。そのコントロールの欠如からパワーが生まれます。これまでの広告は前もって定義したメッセージを企業側から一方的に伝えてきましたが、それだけではいけません。あくまでも人に任せるということで大きなパワーが生まれると私は考えています。
欠けている部分を補いたい、というユーザの欲求をどう作っていくか、ってことなんだろうと思うのですが、かといってそれを最初から狙ってうまくいくもんでもないようで、その例としてアップルとマイクロソフトを出しています。
Appleの場合は自分たちですべてのメッセージをコントロールし、逆にマイクロソフトはソーシャルメディアをどんどん活用して人々の意見を取り入れています。そういう意味ではクリアな答えはないでしょう。
確かに。
で、Twitterを使ったマーケティングについてですが、2つの例を出しています。
米国最大手のケーブルテレビの会社コムキャスト(Twitterアカウントはhttp://twitter.com/comcastcares/)は、10人のチームでTwitterやFacebookなどを監視しています。誰かがTwitterに自分のコムキャストのテレビがうまく機能していないと書き込むと、コムキャストのチームはその人にすぐ連絡します。そこでお客様をきちんと繋いでおかないとサービスが解約されてしまうとコムキャストは考えているため、即座に反応してくれます。
Dellのアウトレット販売(Twitterアカウントはhttp://twitter.com/comcastcares/)のケースですが、このアカウントには100万人以上のフォロワーがおり、非常にシンプルな試みを展開しています。在庫が余った商品があると、たとえば「Latitudeを300ドルで販売しています」という情報をどんどん発信しています。これによって200万ドル分のPCを販売したそうです。
この2例を踏まえ以下のようにまとめています。
企業にとって大事な点は2つ。まず目標を定めることです。Dellはあくまでもコンピューターを売るという目的がありました。コムキャストは顧客のカスタマーサポート関連の問題を解決するという目的がありました。どうしてTwitterを利用したいのか、その目的を明らかにしなければなりません。
まあ、なんでもそうですね。ブログの時も単に「流行っているから」という理由で始めたところは期待した結果を得ることはできなかったでしょう。
そしてこれはブログでも同じですが、「対話」を重んじるということでしょうか。
でもこの「対話」というのが結構難しくって、ブログで単にコメント欄に書かれた質問に答える、という類のもんでもないんですよね。自分が書くテキストにどういう価値があってそれがどういう人にとって有益なのかを考えながらさりげなく書く、というのはとても難しいものです。これはコンサル会社からレクチャー受けてできるもんでもなく、ただひたすらに地味に時間を掛けて経験を積むしかないでしょうね。
そして最後に「クチコミ」に関して語っています。
従来の広告手法というのは、ある製品が存在していますよと認知を広げる際には非常に効果がありました。ただ、それはあくまでも認知であって、景気が後退中であれば、認知されても買うことができないかもしれません。また景気の状況が悪ければ悪いほど人々は友人の意見に耳を傾ける傾向にあり、いわゆるクチコミの力が大きくなります。
ただ、クチコミに関して企業が大きく誤解しているのは、ダメな製品でもクチコミの力を使って認知を広げれば売れるだろう、というものです。だめなものはいくらやってもだめなんですよ。たとえいいものであったとしても、そこに付けられているプライスがリーズナブルなものでなければやはり商品トータルとして「だめなもの」なんです。
商品がいいもので、値段もリーズナブル、そしてその製品が利用者ももたらすメリットが明確でありながら認知度が足りないことからあまり売れない、なんてものはクチコミにぴったりですし、そういう製品には喜んで友人・知人に紹介したいと思うことでしょう。
ソーシャルメディアを活用したクチコミ・マーケティング、といえば聞こえはいいのですが、違う言葉でいえばある種詐欺の片棒を担いでいるような状況になってしまう場合もあるので、利用される我々もそうならないよう注意しておかなければなりません。
まあ、Twitter使ったソーシャルマーケティング講座で参加料1万円とかコンサル料100万円なんてのにも注意しなきゃね。
なんてことをいろいろ気づかせてくれるいい記事でした。
で、肝心の本の方ですが、こんな本のようです。
現代の消費者はブログ、SNS、YouTube、ポッドキャストといったソーシャルテクノロジーを使って、企業や製品を語り合い、格付けし、選択している。これは世界規模で起きている変化であり、その影響はすべての産業に及んでいる。この社会現象を著者らは「グランズウェル(大きなうねり)」と呼ぶ。グランズウェルは人々の生活だけでなく、ビジネスのあり方にも影響を及ぼしており、未知の事態を前に、多くの企業が頭を抱え、対応する方法を模索している。本書は著者らと数百人のクライアントとのやりとりと、数千時間に及ぶコラボレーションや分析から生まれた。目的はただひとつ―テクノロジーの変化の波に圧倒されることなく、ソーシャルテクノロジーが生みだす世界を航海できるよう支援することだ。顧客との良好な関係を築き、収益を上げ、コスト削減を実現する、ビジネスに活かす方法を豊富な事例に基づいて解説する。さらに、実用可能なROI(費用対効果)のモデルも提供している。
ソーシャルメディアを活用した日本企業の成功例は未だないかと思うのですが、この本を見て成功した会社第1号になってみてはいかがでしょうか?
グランズウェル ソーシャルテクノロジーによる企業戦略 (Harvard Business School Press)