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2009年のブライアン・イーノのインタビュー記事が面白かったので引用してみる。

2009年8月に行われたインタビュー記事、ということでちょっと古いのですが、逆にそこで語られたことを今の時代に当てはめてみると色々面白かったので、保存メモ代わりにここに引用してみます。

それはつまり「音楽」についてです。

特別インタビュー:ブライアン・イーノ - Time Out Tokyo (タイムアウト東京)

私の考えでは、もはや音楽に歴史というものはないと思う。つまり、すべてが現在に属している。これはデジタル化がもたらした結果のひとつで、すべての人がすべてを所有できるようになった。レコードのコレクションを蓄えたり、大事に保管しなくてもよくなった。私の娘たちはそれぞれ 50,000枚のアルバムを持っている。ドゥーワップから始まった全てのポップミュージック期のアルバムだ。それでも、彼女たちは何が現在のもので何が昔のものなのかよく知らないんだ。例えば、数日前の夜、彼女たちがプログレッシブ・ロックか何かを聞いていて、私が「おや、これが出たときは皆すごくつまらないといっていたことを思い出したよ」と言うと、彼女は「え?じゃあこれって古いの?」と言ったんだ(笑)。彼女やあの世代の多くの人にとっては、すべてが現在に属していて、"リバイバル"というのは同じ意味ではないんだ。

なるほど、音楽に歴史というものがなくなり、すべては現在に所属していると。

確かにデジタル化されるとそのコピーは至るところに存在するから大事に保管する必要もなくなるし、レコードの時代にあったジャケットや歌詞カードの老朽化により直感的に「ああ、古い音楽なんだな」って感覚もなくなってしまったわけですね。

で、「でも、本当に大事なものはいくらかそこで失われたのでは?」という質問に対しては、

何かは失われたし、何か別のものが得られただろうね。特に私の世代で失われたものは顕著だね。なぜなら、私たちにとってレコードは極めて重要なもので、レコードによって文化的なポジションが決められていたし、レコードの嗜好によって人との付き合いも決まった。レコードは文化的な会話の中心を占めていたんだ。その理由の一つは、レコードは金のかかる趣味だったからね。当時は高くてたくさん買えなかったから、それだけお金をかけるならば、真剣になるし情熱も持つようになる。そして、真剣になって情熱を持った分だけ、恩恵も受ける。だが、今や音楽は水のような存在になってしまった。事実、水より若干安くなっているし、音楽に対してはまったく異なる態度が生まれている。この新たな態度の健全な部分としては、さっき説明したように、偏見をまぬがれた差別のないフィールドが生まれたことだね。音楽は以前ほどはイデオロギーの重荷を背負わされなくなった。例えば、ABBAを好きな人は政治的に格好悪いとされたり、ベルベット・アンダーグラウンドを称賛するのが不可欠だとされていた頃のことを思い出すよ。そういった多くのものは過ぎ去ったし、過ぎ去って良かったと思う。

「それだけお金をかけるならば、真剣になるし情熱も持つようになる。そして、真剣になって情熱を持った分だけ、恩恵も受ける。」というのは確かにその通りで、だからきっと何十年も経った今でもいろんな思いを抱きながらその頃の音楽を楽しむことができるのだと思います。

ABBAを好きな人は政治的にはどうかはわかりませんが、格好悪いとか軟弱とか言われた時もありましたね。聞く音楽によってその人がどんな人なのかの判断の材料になったのは確かでした。「ビートルズとローリング・ストーンズどっちが好き?」って聞かれたら「とりあえずここはストーンズって答えておかないとまずいだろうな」って思った事何度もあるもん。

で、さらに、

いや、他にも引き起こされたことは、音楽が事実上無料になったことで、コピーできない部分に価値が置かれるようになったことだ。例えばパフォーマンスに関して言えば、ここ数年においておそらく今までにないほどイギリスではライブパフォーマンスが盛んになっていて、バンドはパフォーマンスを真剣に受け止めている。彼らはパフォーマンスのプロモーションをするためにレコードを作るんだ。私たちの時代は、レコードのプロモーションをするためにパフォーマンスをしたものだった。再びパフォーマンスが活性化して注目すべきものになり、全てのレベルにおいて重要になった。大物のバンドがやってくるときはサーカスが街にやってくるときみたいだし、実際に彼らがやっていることその通りなんだ。様々なフェスティバルも以前より増えている。そうした場所は若者にとっての一時的な新しいコミュニティを生み出していて、私はそれが好きなんだ。素晴らしいことだと思うよ。

で、さらに

その他にも起こったことと言えば、今はCDを売るのが難しいからパッケージに工夫を凝らすことだ。これは極めて新しいアートの形だと思う。この前、ボックスセットを買ったんだ。古いアメリカの宗教音楽のCD6枚組で、CDの上に古い78s(78回転のレコード)がプリントされ、美しい木箱に入っていて素晴らしい本も付いている。音楽の考古学的な一品だともいえるし、制作も装丁も素晴らしい出来栄えだった。これは、美しい音楽経験と学術的文章、そしてアート作品のコンビネーションだけど、それはもはやCDのセールスではお金にならないという理由から生まれたものなんだ。

その他にもいろいろ興味深いことを語っているので興味ある方はリンク先記事をご覧下さい。

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このページは、nagasawaが2011年8月16日 15:07に書いたブログ記事です。

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