米Appleは8月27日(現地時間)、Macソフトウェアエンジニアリング担当副社長のクレイグ・フェデリーギ氏とハードウェアエンジニアリング担当副社長のダン・リッチオ氏を上級副社長に任命したと発表した。これで、ティム・クックCEO直属の上級副社長は10人になる。
Apple、エンジニアリング担当副社長2人を上級副社長に昇格 マンスフィールド氏はクックCEO直属に
ダン・リッチオさんはよく存じ上げないのですが、クレイグ・フェデリーギさんは元NeXTということでメールではよく拝見しておりました(お会いしたことはありません)。
クレイグ・フェデリーギさんは実はすごい人で、NeXTでは「Enterprise Objects Framework(EOF)」のプロジェクトマネージャーをやられていました。
今でこそ、オブジェクト指向プログラマがデータベースアプリケーションをコーディングする際はSQLを書かずにデータモデルに対してあれこれ記述するようになっていますが、多分そういうのを最初に実現した人です。Enterprise Objectsというのは企業における各種データとその処理をカプセル化した「オブジェクト」のことです。クレイグ・フェデリーギさんに関しては以下の記事がとても詳しいです。
「Mac OS X」担当の新幹部C・フェデリギ氏--その人物像に迫る
EOFは、NeXTが1994年にオブジェクト・リレーショナル・マッピング・ツールとしてローンチした製品。開発者はEOFを使用して、コードを記述することなく複数のデータベースを相互接続したり、ウェブに接続したりすることができた。同テクノロジは後に「WebObjects」の一部となった。
WebObjectsというのはこれまた世界最初のWebアプリケーションサーバーです。EOFやWebObjectsがリリースされた時は考え方が新し過ぎてもうついていくのがたいへんでしたよ。
あ、今思い出した。
あのコンシューマ製品バリバリのスティーブ・ジョブズがEOF発表の時はキーノート・スピーチで「企業データとポリシー」というテーマでビジネス(企業内)カスタムデータベースアプリケーションの在り方についてOracleやSybaseやDB2を引き合い出しながら延々デモしたりしゃべっていたんですよ。EOFは革命的だ、と。今からはとても想像できないですよね。でもしっかりしゃべっていたんですよねえ。ほんとあの人はなんでも期待以上に喋れちゃうんでびっくりです。
ということでクレイグ・フェデリーギさんの今後の活躍に期待したいと思います。