5月中旬より長期金利の上昇に伴い「住宅ローン金利上昇!」といった言葉を頻繁に見聞きするようになりました。「変動金利から固定金利に変更する人達が増加し」というニュースを平然と流しているメディアも多数ありました。個人的には金利が下がったときはおとなしく、上がったときだけ大騒ぎする明らかに偏ったメディアの姿勢に関しては大変辟易しています。そこで、せっかくの機会ですから住宅ローンの金利について、3回に分けて今一度確認しておきたいと思います。
メディアが教えてくれない本当の住宅ローンの話【金利の指標編】
ということで3回ある住宅ローンについてのお話の1回目です。住宅ローン組んでいない人はスルーしてくださいね。
1回目の今回は金利の指標を再確認です。金利を大別すれば「長期金利」と「短期金利」に分けられます。
住宅ローンを変動金利から固定金利に切り替える人が増えているというニュースを目にすることもあるかと思いますが、この変動金利と固定金利は長期金利と短期金利とどのように関連しているのでしょうか。
長期金利の代表的な指標といえば最近話題の「長期国債(新発物10年国債)」。一方、短期金利の指標は「無担保コールレート・オーバーナイト物」です。
住宅ローンの「固定」とつく金利タイプは「長期国債」の利回りを参考にして決まっており、一方、変動金利は日銀の金融政策における無担保コールレート・オーバーナイト物の誘導値=「政策金利」を基準にしています。
ということで、固定金利と変動金利は参考にしているものが違う、ってのをまず理解しないといけません。
ってことは今まで変動金利だった人が固定金利に切り替える場合は無担保コールレート・オーバーナイト物の変動を見なければならない、ってことです。さて、それは現在どのようになっているでしょうか。
一目瞭然、長期金利は動いていますが短期金利は安定しています。
となるわけですよ。
で、この先の説明はリンク先の記事を読んで頂くとして、長期金利でさえ、
1年前の水準に戻っただけです。1年前に「金利上昇!」なんて騒いでいません。むしろ「長引く低金利」といっていたはずです。要は直近が低過ぎたというだけの話です
ということなのでちょっと落ち着いた方がいい人がいるかもしれません。
結論としては、
10年で見ればまだまだ低い水準です。「長引く低金利」といわれきて、その間でも1%を超える時期があった訳ですから、直近短期間の動きに過剰反応するのは非常に近視眼的であるといわざるを得ません。先月新聞の一面に「住宅ローン金利(10年固定)が上昇」と書いてありましたが、1年前の水準に戻る程度なのですからメディアの論調は浮足立っているといえます。
ということです。
この後の2回も楽しみだなあ。