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映画「Steve Jobs」と「スティーブ・ジョブズ1995 失われたインタビュー」

本日公開の映画「Steve Jobs」ですが、実は私、ギャガさんにて9月25日に試写を観ておりました。

で、その週末にはもうひとつのスティーブ映画である「スティーブ・ジョブズ1995 失われたインタビュー」(以下「失われたインタビュー」)が公開されたのでそれも観ました。

ということでスティーブ・ジョブズについてはとても詳しくなりました。

で、とりあえずの感想ですが、映画「Steve Jobs」は別に映画館で高いお金出して観る必要はないかなあ、って感じでした。まあ、レンタルビデオだったらいいかな、ってことで、個人的にオススメしたい見方は「失われたインタビュー」がDVD化された時点で、最初に「Steve Jobs」を観て、その後に「失われたインタビュー」を観る、というものです。

というのも「失われたインタビュー」は1995年にスティーブがNeXTやってたときに撮影されたインタビュー映画なのですが、「Steve Jobs」にドラマティックに登場してくるあんなシーンやこんなシーンについても「偶然」語っているからです。そんなシーンはいわば監督の解釈による演出が施されているわけですが、当のスティーブにとっては大したことな事だったりすることが「失われたインタビュー」を観るとわかります。

で、最初に「失われたインタビュー」を観てしまうとスティーブが語るそんなシーンは割とどうでもいいものとしてスルーされてしまいます。なので事前勉強として「Steve Jobs」を観るのがよいかと思います。

で、「Steve Jobs」を映画館で観る必要はないかな、と思う理由はいくつかあります。

まず、「Steve Jobs」というタイトルがそうであるように「Steve Jobs」はスティーブという人間に迫った作り方がなされており、普通の人が興味を持つであろうiPod誕生&iPhone誕生秘話などは全然出てこなく、ひたすらApple始める前のスティーブの生活パターンや人間関係、そしてAppleで成功してからの人間関係などにフォーカスしており、しかもそこから得られる情報はよく言われる「最低のクソ野郎」ってことだけです。

で、このあたりは監督も意識してそう作っているらしく、Gizmodoに掲載された監督のジョシュア・マイケル・スターンのインタビューでは次のように語っています。

シェイクスピアの戯曲みたい。映画「スティーブ・ジョブズ」のジョシュア監督にお会いしてきたよ! : ギズモード・ジャパン

ジョシュア監督:彼はいろんなものを発明した天才だし、何がクールなのかを理解していた人。でも、私生活の面ではあまり共感できなかったところもありました。僕は神様ではなくて、人間を描きたかったんです。人間というのは間違いや問題もある。彼は私生活において人を愛することは苦手だったかもしれないけれど、自分の製品で愛を表現した人なんだと思ってます。

「僕は神様ではなくて、人間を描きたかったんです。」だそうです。でもみんながみたいのは最低な野郎がだんだんと実績と信頼を得つつ神格化されていく様なんじゃないかなあ、と。

映画の前半では最悪な印象を与えつつ、最後のシーンで実はいい人、的な作りだと救われるのですが、最後までいやな人で突き進んで行く様は「だってそれがスティーブなんだもん」といっても映画的にはどうかなあ、と思うわけです。

というか、せっかく「Steve Jobs」という映画を作っているのに一体スティーブをどういう扱いにしたいのかがまったくわかりませんでした。

ちなみにいい点をあげれば主演のアシュトン・カッチャーの演技はよかったです。髪の毛の長さとかカメラのアングルによってはスティーブそっくりに見える瞬間も何度かありました。スティーブの歩き方やしゃべり方などは完璧なのではないでしょうか。

ただ、本物見ている人としては社員を罵倒するシーンはちょっと技量不足です。アシュトン・カッチャーは単に大きな声と迫力を持って罵倒していますが、本物はあの高い声で早口でひどい言葉で上から罵ります。そこにはナイフを振り回しているような危険さに満ちあふれていて、「これはうかつに近寄れないな」という緊張感があります。反論なんかしようものなら確実に刺されるのでも恐怖で体が動かなくなるような感じです。

で、話を「Steve Jobs」に戻すと、スティーブの最後の勇姿としてiPodを発表したときのシーンが取り上げられています。え、iPhoneじゃないんだ?と思ったのですが、その理由は前述のGizmodoの記事を読んでわかりました。

ギズ:監督が思う「1番画期的だと思うアップル製品」ってiPhoneなのでしょうか?
ジョシュア監督:そう、彼は本当にヒッピー。でも、1番革命的だったのはiPodだと思ってます。iPodが世の中を変えたから。まず音楽産業を一変させた。そしてあの小さなガジェットで自分のアートを全て持つことができるというモバイル性を普及させた。もちろんiTunesも音楽流通に革命をもたらしましたよね。つまり、iPodが産業を作り変えてしまったんです。iPodがあったからこそ、iPhoneで携帯電話産業にも革命をもたらし、その先のiPadも作ることができた。iPodが「手の中に自分のすべてを詰め込めるガジェット」の始まりだったと思っています。

まあ、確かにその通りなのですが、やっぱりiPodの成功をさらに推し進め、iPod+携帯電話+PDAを一体化し、さらにタッチスクリーンというまったく新しいUIを実現したiPhoneというものも見逃せないのではないでしょうか。iPhoneにもちょっとは触れて欲しかったなあ。

ちなみに個人的にはなんでコンピュータの会社のAppleがiPodというオーディオプレイヤーを作ることにしたのか、その社内の反発とそれに対するスティーブの対立(説得?)とかガンを告知されてからのスティーブの心境や態度の変化、そしてそれを受け入れてからのスティーブについてを見てみたかったと思いました。

さて、もう一つの「失われたインタビュー」ですが、こちらは脚色なしのガチなインタビュー映画です。なんかのイベントのキーノートを見ているような感じです。

こちらは1995年に撮影されたものなのですが、18年後の今、つまり未来から過去を見ると非常に興味深い発言がたくさんあります。

この頃のスティーブはPCの世界はマイクロソフトの完全勝利で彼らにはもう勝つことはできないだろう、と思っていた頃です。

そんなスティーブに「今後10年のコンピュータはどうなる?」という質問をしています。それに対して「これからはWebだ」と答えます。Webがすべてを変える、何もかも変わる。そしてなによりもいいのがWebはマイクロソフトのものではない、と答えます。

ああ、確かに今はWebの時代です。そして完全勝利していたマイクロソフトはインターネットとモバイルへの対応の遅れにより昔よりも影響力を失っています。

やはりこのあたりの目利き力は素晴らしいものがありますよねえ。

で、そんな打ちひしがれ何かを悟った感のあるスティーブの姿を「失われたインタビュー」を見るとApple復帰後のスティーブはさぞ嬉しかっただろうなあ、と誰もが思うことでしょう。もう自分には業界に与える影響力はないだろうと思っていたのに再びチャンスが訪れるわけですから。

その結果どういう行動を起こしたか、については「Steve Jobs」を見ればわかるわけで、そんなわけでこの2つのスティーブ映画は2つ観て初めてその価値がわかることでしょう。

なのでDVD化された時に2つを一気に観るのがよいですよ、という元NeXT社員の私からの提案でした。

上映館の問題で観られなかった方/見逃した方はiTunes Storeから購入することもできます。

ちなみに今週のモダシンラジオはギャガさんの試写会に参加された他のブロガーさんと一緒に映画「Steve Jobs」について語ったものをお届けします。こちらもお楽しみに。

ではとりあえずその2つの映画の予告編的なものをそれぞれどうぞ。

あ、昨日出た『WIRED』 保存版特別号「WIRED×STEVE JOBS」は相当すごいですよ。多分スティーブ死後に出たスティーブ特集本の中で最高峰だと思います。

『WIRED』 保存版特別号「WIRED×STEVE JOBS」 (GQ JAPAN2013年11月号増刊) 『WIRED』 保存版特別号「WIRED×STEVE JOBS」 (GQ JAPAN2013年11月号増刊)

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このページは、nagasawaが2013年11月 1日 21:24に書いたブログ記事です。

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